古事記をそのまま読む―資料4
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2017.05.10(thu) [29] ヒトの目の角分解能 


 ヒトの目は、どれだけ細かいところまで見分けることができるだろうか。
 この問いを言い換えれば、ごく近くにある2つの点が溶けあって1つにならずに、2つに見える最小距離はいくらかということである。 その距離を分解能という。
 当然のながら、同じ物体でも遠くにあるときより、眼の近くに近づけたときの方が分解能は大きくなる。 ただ、目と2つの点のそれぞれを結ぶ直線が作る角度(図4のα) の最小値は一定である。これを、ここでは「角分解能」と呼ぶ。
 角分解能の値は、一般に鳥の目の方がヒトの目より小さい〔=細かいところまでよく見える〕。 それは、鳥の方が、網膜上の視細胞の密度が大きいからである。 このように、眼の角分解能はひとえに隣り合う視細胞の間の距離で決まる。
 それでは、ヒトの目の分解能は、具体的にどのくらいであろうか。

【ヒトの目の角分解能】
 眼は網膜上に実像を結び、視細胞がその光を信号に変えて脳に送る。 従って大雑把に言えば、実像の上の2個の間隔が、隣り合った2個の視細胞の間隔より狭ければ見分けることができない。
 視細胞には、僅かな光を敏感に感じる(=暗いところでも見える)が色を判別できないかんと、 十分な光が必要だが(=明るい所だけで見える)が色別に感じ取るすいの二種類がある。
 網膜上には特に、視細胞が密集して像を微細に判別できることができる部分あり、これを中心と言う。 中心窩には錐体が高密度に存在するが、桿体はほとんど存在しないという。
 錐体にはR、G、Bの三種類があり、それぞれ赤・緑・青の波長の光だけに反応する。従って、3個の錐体の組によって色のついた点一個を見る。 従って、上述の※は、正確には「RGBの3個の錐体を一組としたときの、2組の間隔」と表現しなければならない。
 中心窩に結ぶ像の分解能を大雑把に計算するために、左の値を用いる (『眼』の値を使用)。
 以上から、網膜の画素の密度から受け取る画像の分解能を考える。
眼球の直径 24mm
中心窩の錐体密度 16万体/1mm
両眼視野 124度
全視野  208度
《視野の広さ》
 眼球一個の視野(図1のx)を求める。

  x=両眼視野+(全視野-両眼視野)/2=166度 …(1)

《画素の間隔》
 網膜が受け止める画素の間隔を求める(図2)。
 中心窩の錐体の密度は、16万個/mm。 R、G、Bの錐体の組で一つの画素を構成すると考えると、1mmの線上に並ぶ画素の個数は、

  √16万/3=230.9個 …(2)

《像を結ぶ網膜の広さ》
 外界の166度の間の入射光を受け止める網膜の寸法を求める。 眼球を完全な球体として、その4分の3(図3の水色部分)の範囲で光を受けるものと仮定する。
 網膜の受光面の横幅は、

  2πr×(四分の三)=24×π×3÷4=56.55mm …(3)

《受光画素数》
 中心窩の錐体と同じ密度で、全受光範囲に受光画素が分布すると仮定する(図3)とその個数は(2)×(3)で、

  230.9×56.55=13060 …(4)

《角分解能》
 入射光(1)が受光画素に均等に広がると仮定すると、画素間の角分解能は(1)÷(4)で、

  166度÷13060=1.271×10-2度=2.183×10-4ラジアン …(5)

まとめ
 眼球から距離の位置での分解能は、眼球の角分解能がα(ラジアン)とすると、αdとなる(図4)。 αの値は(5)のように、α=約0.00022 である。
 従って、d=1mのときは、約0.22mm。 つまり、最大限ピントが合った場合でも、眼から1m離れた位置で横に並ぶ2点は、その間隔が0.22mmより短いと、見分けることができない。
 d=10kmのときは、約2.2mとなる。